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《言う者は知らず知る者は言わず》 じゃぁOODAループなら使えるのか? その2

うーん,沼が深い。

OODAループを調べていくと,どんどん深みにはまっていきます。

楽しいからいいんですけどね・・・。

 

首と背中の痛みは増していきます。

ストレートネックです。

 

 

《前回のダイジェスト》 

さて前回は

◆観察(Observe),情勢判断(Orient),意思決定(Decide),行動(Act)という流れ(OODAループ)を,敵よりも自分の方が早く処理することできれば,自分が敵のOODAのループに侵入して敵をかく乱することができる

というところにOODAループのコンセプトがあることをご紹介しました。

 

さらに,

◆OODAループ自体は,だれもが日常的にしていることであって魔法の枠組みではない

ということも残念ながらわかってしまいました。

 

敵が持ってないスンバラスイ・アイテムを自分だけが持つなら話しは早いのに,すでにだれでもやってるだなんて・・・。

 

じゃあじゃあ聞くけど,もともと戦闘で敵に勝つことを目的として整理された枠組みで,そのうえそれ自体が新たな発明品というわけでもない ”OODAループ” を,

◆どうやって私たちの組織運営に取り入れていくんですかぁ?

・・・というのが,ここからのかんがえどころです。

 

 

《もう一度OODAループのスケッチを眺めながら》 

じっくり眺めてみました。

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確かに,変化する相手に対処するときには,僕も無意識ながら

■観察 ■情勢判断 ■決定 ■行動

というプロセスを踏んでいると実感できました。

 

一番わかりやすい例は,30歳を過ぎてから覚えた麻雀です。

 

相手のあるゲームで初心者がおちいりやすいのは,自分の手札に惚れてしまって周囲をかんがえないこと。

初心者は・・・世界がいつも平和で自分中心に回っている・・・という希望的観測にどっぷりはまって敗け続けます。

授業料を払い続けて学習し,なんとなく周囲がどんな組み立てになっているのかがわかるようになれば,少しずつ勝てるようになっていきます。

 

つまり,情勢判断が自分本位ではなく,いろんな要素を取り入れた複合的なものになっていくという経緯を僕も体現していたわけです。

 

まわりのことを全く考えずに毎回チートイツというような段階から徐々に学習して,「その切り方,さてはホンイツだな」とか「あんた相変わらずいつも手堅いねぇ。親父さんゆずり?」とかとか,三味線を弾きながら相手の顔色を読んでいくようなことができるようになります。

 

最近は全くやらないので,もう勘どころも忘れてしまいました。

麻雀や花札囲碁,将棋などの対戦ゲームを想像しながら ”OODAループのスケッチ” を眺めてみると,大筋のところは腑に落ちやすいかと思われます。

 

麻雀,カードゲームもドッグファイトも,変化する敵への適切な対処というところでは同じですもんね。

アカデミックなたとえじゃなくてすみません。

 

 

《番組の途中ですが,核心に近いところも見え隠れしはじめました》

ここからも,OODAループの図に関して調べていかないとゴールは見えてきませんので,少しの間続いていきます。

 

ただ,それを調べているのは,その先にあるものを探るためでした。

 

でで・・・,このあたりまで調べてみると,その先にある大事なことのうちの一つに関する記述にも遭遇できました。

前回もご紹介した「真説 孫子」(デレク・ユアン著)です。

 

先ほどの麻雀を例にした場合,あくまでも遊びで親交を深める・・・が目的なので,いくら自分が強くても相手をメッタメタのギッタギタにしちゃだめです。

 

戦闘の戦術策定においても,物理的に相手の兵をすべて殲滅することがもともとの大局的な目的と合致しているかを見極める必要があります。

まだ深くまでたどり着いていないのですが,孫子の思想の流れを汲むボイド大佐はそのあたりのことに強い想いがあるようです。

 

さらに,OODAループがすでに誰のなかにもあって特別なオプションじゃあないということの向こうに,見え隠れしているものがありそうなんです。

 

OODAループ自体の処理速度を上げることにも有用性があることはわかりましたが,それをするための ”前提” があるんです。きっと。

そのあたりがOODAループを組織運営に使うための鍵になるはずです。

 

PDCAのときにもデミング博士の経営哲学という重要な前提が,閉じられたパンドラの箱の中に残っていました。

 

これからOODAループがもてはやされることになるならば,箱の中身は洗いざらい外にだしておかなければ,またもや勝手な解釈で地道に働く人たちを鞭打つOODA趣味者がはびこることにもなりかねません。

 

 

 

《まずはOODAの2番目の ”O” から》

図に戻ります。

中段には,文字を図形で囲んだものが帯状に並びます。

そのなかで,特に ”情勢判断” では5つのワードとそれらを結ぶ矢印が走り回っています。

この2番目の ”O” ,ORIENTの ”O” をボイド大佐はビッグ・オーと呼び,大事なプロセスであることを強調しています。

 

でも,パッとみただけではわかりにくい。

 

英語は得意でないものの,すでに日本語に訳されたものを見てもピンとこないので,勝手に自分で噛み砕いて置き換えてみる必要がありました。

間違ってたらごめんなさい。

 

まずは,情勢判断のなかにある円の中のワードを,もとの英語表記と勝手な意訳で対比しておきます。

 

右端の5角形の部分から時計回りに,

■Analyses & Synthesis ― 分析と統合

■Previous Experience ― 経験則

■New Information ― 新しい情報(展開していく状況)

■Genetic Heritage ― 資質能力

■Cultural Traditions ― 文化的伝統

です。

 

少し説明しますと・・・

■一番上の ”分析と統合” は辞書のままです。 

”わける” と ”まとめあわせる” ですから逆の動作でもありますね。

孫子老子のなかにある対比の概念なのでしょうか。

 

■次のところは,”過去の経験” ですから "経験則" としました。

 

■”新しい情報” はそのままです。

ボイド大佐は,

◆情勢判断は,資質能力,文化的伝統,経験則,展開していく状況の相互作用が形作り,それによって形作られた多面的で明示されない相互参照的な予測,共感,相関,排除との双方向プロセスである

と書いてますので,”新しい情報” をこの記述に対応させるならば, ”展開していく(種々の)状況” になると思います。

 

■ジェネティック・ヘリテイジ・・・これもわかりにくい。

「遺伝的な遺産」が一般的な日本語訳でしたが,どんなことなのだろうかと払底する脳で考えたすえに,父母や祖父母などから代々遺伝的に受け継いだ資質や能力と考えるとしっくりきました。

ですから,ここでは ”資質能力” としています。

この部分は変えようがないので,よく見ると矢印も出ていくばかりで入っていきません。

 

■最後も”文化的伝統” で変更なしです。

ボイドは西欧の戦略家だけでなく,孫子宮本武蔵など東洋の思想にも精通していたとのことですので,文化的伝統というワードはそんな多様な民族の歴史や文化に基づく思考などを指すものだろうかと思いました。

確かに例えば,文化的伝統の背景があまりにも異なる孫子クラウゼヴィッツが,もしもヨーイドンで情勢判断をはじめたとしても,同じ出力にはならないでしょうからね。

 

ORIENTの ”O” ,つまり情勢判断のプロセスでは,観察によって得られた情報を,5つのフィルター要素のなかでグルグルっとかき回し,分析・統合して方向性を提示します。

 

 

《OODAに引かれている矢印とその説明コメント》

フィードバックとフィードフォワード,これもわかりにくい。

 

フィードは送るとかパスを出すというような意味合いですので,この図に書かれたことを字づらだけで言えば,

■フィードバックは,先の工程で起きたことの情報を前の工程に戻すこと

フィードフォワードは,前の工程で起きた情報を先の工程に送ること

になりそうです。

 

もっとわかりやすくならないかと思って,工学的な制御という言葉を引っ付けてみたところ,

フィードバック制御は,目標値を安定させるために,最終的に検出された値を戻してきて元の出力量を変化させるようなこと

になり,

フィードフォワード制御なら,目標値を安定させるために,目標値を変化させるような要因を予測して予め修正しておくようなこと

になるのだそうで・・・

気になるところで立ち止まっていると,どんどん深みにはまっていきます。

 

ざっくり前へ進みます。

OODAループの本質的に大切なところは,まだ先に山盛りです。

 

 

 

毎回の文字数を揃えておいたほうが読みやすいかなと思っているのですが,2,700字程度だとすぐですね。

 

OODAループのスケッチに関するところは,もう少し続きます。