ジタバタのかなた

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《言う者は知らず知る者は言わず》 じゃぁOODAループなら使えるのか? その6

前回 ”その5” では,ボイド大佐の著作である ”Patterns of Conflict” のなかみを見ていくことによって,

 

◆ボイド大佐の思考のなかでOODAループはどのように位置づけられているのか

◆OODAループを含む全体像の階層のなかで,最上位にある ”国家目標” をボイド大佐はどのようなものだと指摘しているのか

 

について調べました。

 

 

《前回 ”その5” のダイジェスト》

その結果,

 

◆ボイド大佐がコンフリクト(衝突・紛争)というものの全体像を論じるにあたって "6項目の階層" を提示していた

 

◆OODAループはそのなかの ”大戦術” や ”戦術” という,実務的なことを説明する階層のなかで論じられているものだった

 

◆ボイド大佐は,その6項目の最上位の項目である ”国家目標” を

「変化し続ける環境に応じて形作り対処する有機的な全体の一員としての我々の適応度を向上させること」

であると説明している

 

ことがわかりました。

 

そのときの図を再掲します。

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ここまで調べてきて,もしもOODAループを組織運営のために遣うとしても,やはり

◆OODAループだけを切り離して論じるべきものではない

ことがわかり,PDCA趣味者発生の轍を踏まぬようしっかりとこの点を理解しておく必要があると感じた次第でありました。

 

 

ボイド大佐の思考をほったらかしにして,組織を構成する ”人” の能力を向上させることがセットになっていないOODAループ論は,きっと空虚なものになってしまうでしょう。

 

PDCAと違ってOODAは速さを求めるようです。

もし,そんなふうに手法だけが横行する虚ろなことになったら,OODA趣味者の振り下ろすムチもスピード感満載になることでしょう。

そんなもので打たれる側はたまったもんじゃありませんよ。

 

 

《少し次のページものぞいてみると・・・》

はやく6項目の階層の内容を見ていくのがスジなのは承知なのですが,次のページをすこしのぞいてみたくなりました。

 

Patterns of Conflict

の142ページ(PDFの表示では143/197です)です。

 

Insight

On one hand, as shown on the previous chart, the national goal and grand strategy tend to be constructive in nature. On the other hand, the strategic aim, strategy, grand tactics, and tactics are destructive in nature and operate over a shorter time frame.

洞察
一方では,前の図に示されているように,国家目標と大戦略は本質的に建設的な傾向がある。他方,戦略目標,戦略,大戦術,戦術は破壊的性質であり,より短期間で行われる。

 

In this sense, the upper two and the latter four notions, as expressed, appear to be in disharmony with one another. Yet, application of these latter four strategic and tactical notions permit real leadership to avoid high attrition, avoid widespread destruction, and gain a quick victory. This, combined with shattered cohesion, paralysis, and rapid collapse demonstrated by the existing adversary regime, makes it appear corrupt, incompetent, and unfit to govern.

そういう意味では,上の2つと後の4つの概念は,述べたように,互いに調和していないように見える。だがしかし,これらの後者の4つの戦略的および戦術的概念を適用することによって,実際の指導者たちは激しい消耗を避け,広範囲にわたる破壊を避け,そして迅速な勝利を得ることができる。 

従来の敵の体制が示したバラバラな纏まり,麻痺および急激な崩壊と組み合わさると,これは腐敗し無能で不適当な統治に見える。

 

Under these circumstances, leaders and statesmen offering generous terms can form the basis for a viable peace. In this sense, the first two and the latter four notions can be in harmony with one another.

このような状況の下では,寛大な条件を提示する指導者や政治家が実現可能な平和のための基礎を形成できる。 そのような意味において,最初の2つと後の4つの概念は互いに調和し得る。

 

google翻訳氏のお力をお借りして奮闘してみました。

 

中段の「従来の敵の体制・・・」という部分など,ピンとこない部分もありますところながら,大筋としてボイド大佐が,

 

◆国家目標,大戦略という上の2項目と,戦略的目標,戦略,大戦術,戦術という下の4項目は,性質が異なるように見えて調和し得るものだ

 

と説明していることはわかりました。

 

 

この次のページにもグッとくるなにかがありそうなニホヒがするので,もう少し寄り道したいと思います。

 

そういえば,酒好きだった亡き祖父がむかし,僕が若気の至りでそのとき何かに苛立っているのを諌めるのに,刺身にかけた醤油の小瓶をちゃぷちゃぷ振りながら「こうやって振ると泡が立つだろう 同じ混ぜるにもゆっくり回す方法もある なにごとも泡が立つようなことをしないのがよいぞ」と言ってくれたのを思い出しました。

 

そうそう。気長に・・・。あせらず・・・。