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《言う者は知らず知る者は言わず》 じゃぁOODAループなら使えるのか? その12

今回も引き続き

Patterns of Conflictの141ページ(PDFの表示では142/197です)の ”Pattern” のページです。

 

ここからは下の階層図の最下層に位置する

◆最後に残っていた ”戦術” 

の層を調べていきます。

 

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《戦術》

Tactics
Observe-orient-decide-act more inconspicuously, more quickly, and with more irregularity as basis to keep or gain initiative as well as shape and shift main effort to repeatedly and unexpectedly penetrate vulnerabilities and weaknesses exposed by that effort or other effort(s) that tieup, divert, or drain away adversary attention (and strength) elsewhere.

 

• 戦術

主導権を維持または獲得するための基盤として,もっと目立たず,もっと素早く,もっと不規則さを伴わせて観察‐情勢判断‐決定‐行動(OODA)する。それと同様に脆さや弱さに繰り返し不意に侵入することに主たる取組みを移行して形作る。脆弱性はその取組みまたは敵の注意(または戦力)を縛り付け,そらし,または他所へ流出させる他の取組みによって露呈する。

 

 

この ”戦術” の層においても ”OODA” が登場します。

 

この層で提案されているのは,

◆自分たちのOODAを敵より素早く遂行すること

です。

 

”OODAのスピードを上げる” は,このシリーズでOODAループを調べ始めた初期の段階から繰り返し出てきていたフレーズでした。

 

 

ただ,ここではそれだけでなく,

◆もっと目立たず,もっと不規則に遂行する

ことも同時に提案されています。

 

目立たず・・・というくらいですから,これはきっと他者目線を意識していると思います。

敵に勘づかれたり,法則性を見切られたりしないことを意図したものだろうと思うのです。

 

 ”大縄跳び” が連想されました。

規則的に動く目立つものを見ながらなら侵入しやすく,いつ来るかわからない見えにくいものに当てずっぽうで飛び込むのは危険です。

そういう点から,敵に自分の動きやその規則性を明示してしまうことは避けたいということなのだろうと思った次第です。

 

 

また,敵を誤情報で翻弄することによって見えてくる脆弱な部分への侵入を不意に繰り返すことを ”main effort” (ここでは ”主たる取組み” としました)として形作るべしと言っています。

 

”main effort” は軍事的な用語でもあるようです。

現時点で主に傾注している軍事上の取組みがどんなものであれ,こっちのほうが大事だから,方向転換して形作れと言っているのだと理解しました。

 

 

 

ところで先ほどのところで,もっと目立たずにOODAを遂行せよと言っていました。

 

でも,例えば「こっちはこんなことを考えているんだよーん」と公表するだけでも,敵にとっては,それへの対処の方策を講じるのに相応の労力が必要となります。それに伴って相応のダメージを与えることができるかもしれないとも思いました。

 

敵がそれをマネっこしようとしても,これらの戦術をしっかり遂行するためには,国家目標から通貫するバックボーンが必要なのであり,安直に戦術だけを真似ても本質的な勝利には結びつかないでしょう。

 

 

そのあたりのことがきっとこのOODAシリーズの核心部分に横たわっていると思います。

確固たる共同体の理念を持った人材を付け焼刃で育てることはできないのでありまする。

 

問;わたしたちが組織運営の効率化を目指すにあたっては,OODAを早く回せる人間を促成するだけでよい・・・〇か✖か・・・

というような。

 

何を達成するためにその戦術が有効なのかを意識することなく,技術だけを身につけて無敵だと勘違いするヤカラは,刹那的には組織に貢献しているかのように見えるのでとってもメンドクサイです。

 

技術だけを磨いて評価される者が目立ち始めると,理念や目的を言う者は疎んじられます。

自分が評価されるため・・・でなく,自分が所属する組織のために技量を上げようなんて考える者を養成するのは,そんな環境においては至難です。

 

でも,若年層には,インセンティヴとして,まず自分のために技術を身に付けようと言わざるを得ないかもしれません。

悩ましいところです。

 

 

ここまでで Patterns of conflict の探検はひと段落です。

覚束ない足取りながら,自分で探検してみるとわかってきたことなどもあって,とても新鮮でした。

 

またもやわかりにくいたとえながら,まだ釣ったイカを捌いて干す作業をしただけという心持ちですので,次回からはもう少し噛んで味わって体内に取り入れてみたいと思います。